かづ屋からさらに

かづ屋から独立開業を目指し、それが実現したならば、そのさらに先を見据えていくのも選択肢の一つです。
例えば、多店舗展開。一つの店舗で成功を収めたモデルを活かし、拡大戦略をとる——それは非常に夢のある未来を描かせてくれます。
しかし、私がその戦略にどれほど適切なアドバイスをできるかといえば、大いに疑問が残ります。なぜなら、私自身も過去に多店舗展開を試みたものの、すべて撤退した経緯があるからです。いわば、私には多店舗展開における「成功体験」がありません。
もっとも、失敗からの教訓なら山ほど得ています。くじけずに挑戦を続ければ、良い結果が得られるかもしれません。事業を大きく拡大された方々も、そうした屈しない挑戦を重ねてこられたのでしょう。とはいえ、70歳を迎えた今の私には、そこまでの体力はありません。
私が本当に望むのは、かづ屋の出身者の中から多店舗展開を成功させ、大きな事業を成し遂げる者が生まれてくれることです。だからこそ、かなり以前から「かづ屋を超えていってほしい」と皆に伝え続けています。
一方で、店舗数を増やすことだけが道ではありません。店の形態そのものを進化させるのも面白い試みです。
かづ屋には、ラーメン以外のメニューも揃っています。それらは提供の仕方ひとつで、大きな可能性を秘めています。
例えば餃子です。もちもちとした食感の手伸ばしの皮は他にあまり例を見ませんが、あの自家製皮の成分と味わいを保ったまま、製麺機を活用して仕込む技術を確立しました。これまで職人の熟練技術に依存していた工程を機械化できたことで、クオリティを落とさずに量産化することが可能になったのです。この技術を使えば、餃子の大量販売という道も拓けてきます。
またワンタンに関しても、皮の自家製化に成功し、製麺所から仕入れる従来の品よりも自然な風合いに仕上がっています。自家製ならではの強みを活かした、新しいメニュー展開も十分に可能です。
その他にも、従来のラーメン店にはない食材や料理の開発を進めています。これらを多彩に展開すれば、既存のラーメン店の枠を超えた新しい飲食店を生み出せる可能性があります。例えば「餃子バル」や「餃子カフェ」、あるいはテイクアウトに特化した「ワンタン・ファストフード」など、想像するだけでワクワクしてきます。
現在、かづ屋から独立した者の多くは、ラーメン単品を軸に営業しています。せっかくかづ屋から受け継いだ財産を、まだ充分に生かしきれていないと感じることもあります。もちろん、店舗スペースや人材不足など、さまざまな制約があることは承知しています。しかし、そうした壁を乗り越え、ラーメン屋という枠組みを超えて大きく成長してくれることを切に願っています。
