いかにして開業資金を作るか

前回は、「資金がないからこそ必然的に長く働くことになり、それが技術の修得につながる。お金がないのは単に残念なことではなく、結果的にはプラスにもなる」というお話をしました。
しかし最終的には、開業資金を用意しなければなりません。では、資金はどのように、そしていくらぐらい貯めればよいのでしょうか。また、金融機関からの融資はどのように受ければよいのか、具体的に解説いたします。
お金の貯め方は、毎月コツコツと貯めるしかありません。ポイントは「余ったら貯める」ではなく、「給与が入ったらまず銀行へ回す」ことです。一番良いのは、毎月自動的に引き落とされて定期預金へ積み立てられていく方法です。
例えば、かづ屋に勤務すれば手取り額で30万円以上は入ります。そのうち少なくとも10万円を貯金しましょう。年間で120万円、5年間頑張れば600万円貯まります。これを元手に金融機関へ融資を申請すれば、1,500万円ほどは借り入れが可能です。そうすれば、計2,100万円の開業資金となります。これは独立開業に向けて十分勝負できる金額です。
もっとも、ここにあげた数字は少なめに見積もっています。かづ屋の給与は能力や成果に応じて昇給します。現在の従業員も、入社2年目あたりからは総支給額が40万円を超えています。そうなれば月々の積立額も増やせるため、最終的に5年後の自己資金で700万円を超えることも十分に可能です。
次にお金を貯めるポイントは「使わないこと」です。どうすれば出費を抑えられるか。それは「使う時間を無くすこと」です。要は働く時間を増やせば、収入が増えるだけでなく使う時間も減るため、より効率よく貯金ができます。
これは「言うは易く行うは難し」と思えるかもしれません。しかし、それを可能にするには「住居を職場の近くにする(職住近接)」ことでハードルが下がります。実際に従業員の何人もがこれを実行しています。
かく言う私も、たんたん亭に入店した折、長時間労働を覚悟して駒沢から浜田山へ引っ越しました。しかも店から引っ越し費用として30万円をお借りしたため、私のラーメン人生はマイナスからのスタートだったわけです。しかし職住近接により、余計な時間をかけずラーメンに没頭する毎日を送ることができ、5年間など瞬く間でした。
こうして自己資金ができれば、次は融資です。ラーメン屋といえども事業の端くれであり、この資本主義社会において自己資金だけで事業を回している者などほとんどいません。ですから借金を恐れてはいけません。堂々とお金を借りましょう。
私が独立開業した時代に比べて、現在は金融機関(特に政府系金融機関)からの借り入れが容易になっています。かつて私が独立する際、信用金庫に融資を申し込んだところ「300万円が限度」と言われ、途方に暮れました。今では自己資金の2倍以上の融資を望むことも決して不可能ではありません。
さて、その融資審査で重視される条件は「これまでの職歴」です。どのような店でどれくらい働き、その間にいくらお金を貯めたのかという「具体的な過去の実績」が評価されます。今回お話ししてきた取り組みのすべてが評価の対象となるわけです。日々の姿勢や実績がすべて結びつき、最終的な独立開業という結果へとつながっていきます。

