ラーメン店は儲かるか ほんとうに
ラーメン屋は儲かるのか、この問いについて語らせていただきますが、私にその資格があるかと自問すると、甚だ心許ないかもしれません。ラーメン屋を開業し、繁盛店にして支店を展開し、さらに店舗を増やして企業として立派に成功された方は数多くいらっしゃいます。それに比べ、私が誇れるのは、長く店を続けていることだけです。
そんな私の視点から語る「ラーメン屋は儲かるか」という問いは、そのスケールからすると実にささやかなもので、家族がまっとうに暮らせる程度に稼げるか、といった程度の話になります。当然のことながら、私の元でラーメン修行をされる方が「かづ屋」レベルの商売を学べるとしても、そこから先はご自身で研鑽を積んでいただきたいと願っています。
しかし、世の中にはラーメン屋を起業し、繁盛店を築き、さらに店舗数を増やして大企業にされた方が、開業された全体のどれくらいの割合でいらっしゃるでしょうか。それはごく限られた方々であり、圧倒的多数は個人で単独店を経営しています。そう考えると、まずは私のような規模の話が参考になるかと思います。
さて、前回述べたワンオペ経営はとかくありがちなスタイルではありますが、あまり推奨はいたしません。何よりも効率が悪すぎます。ラーメン店への入客は、ピークであるランチタイムに集中します。その時間帯にお客様をあまり待たせず、売上を上げるにはアシスタントが必須です。さらに、掃除や片付けなどもアルバイトに任せるべきです。時給換算で考えるならば、店主の時給はいくらになるのでしょうか。決してアルバイトレベルの時給ではないはずです。店主が行えば、掃除や片付けのコストがとんでもなく高くなります。さらに、人件費を節約するために店主が長時間労働で疲弊すれば、長く店を続けることはできません。
このような理由から、アシスタントをつけた営業は必須だと考えています。そして、1日に100食を売りましょう。そうすれば、今のかづ屋と同様の価格であれば月商300万円にはなります。そこまでいけば、年収は1000万円を超えるはずです。
さて、今の東京に居住していて年収1000万円あればリッチかと言えば、そうでもありません。土地の高い都内で自宅を構え、家族を持ち、子供を育てる生活はギリギリかもしれません。しかし、国民全体の平均給与から見れば、随分と高収入です。何も後ろ盾なく、学歴も関係なく、この収入に到達できるラーメン店という職業は魅力的ではないでしょうか。