Y君の独立開業2


私の開業当時の諸条件から今の独立開業を考えてみます。
平成元年当時はバブル経済の最中で地価高騰し家賃も高水準でした。
開業場所は現店舗から南に200メートル程bで9坪の広さでした。家賃は24万円で坪当たり単価は26000円です。時は平成元年、バブル景気の真っ盛りで地価高騰で当然家賃も高水準でした。またなによりも困ったのが保証金の高さで一坪あたり100万円以上でラーメン店を開業を考えれば保証金で1000万円を超えてしまいます。
あれから36年経過していますがバブル後は地価も沈静しましたがここ数年は再び地価は上昇し家賃相場は当時と変わらぬ状況です。目黒のこの周辺は坪当たり25000から30000円をつけ始めています。しかし保証金は低水準で家賃の10カ月分が相場のようです。かつての私の開業時で計算すれば240万円位で三分の一あたりです。
私の開業資金は1500万円で店舗を借りるのに800万円残り700万円が店舗造作と設備費でした。
厨房で必要設備は削れないのでおのずと店舗造作は簡素になります。カウンター15席の店は床や壁のほとんどはコンクリート打ちっぱなし、一部を板張り。しかしそれがかえって今風で貧相な店構えにはなっていなかったようです。
資金の半分は自己資本で残りが銀行借入です。自己資金はたんたん亭に勤務している間に500万円貯め、母や知人からの寄付と株で少々と稼いだり等やっと掻き集めた開業資金でした。
銀行からの借入は勤続中に毎月引き落としの定期預金の実績を評価していただいたのと、たんたん亭の店長の経験をかわれ、さらにたんたん亭のマスター石原に保証人になっていただき実行されました。またありがたいことに店舗の大家さんから保証金を借入金の担保にもしていただき銀行からの融資となりました。
このように私の独立開業には多くの方からの善意に恵まれて実現しています。
さてそんな私の開業も店舗探しは苦労しました。平成元年の2月までたんたん亭の店長を務め、3月以降は人手がない時はお手伝いする程度の働き形に、当然に収入はほとんどなくなり貯金で食いつなぐ状態となりました。貯金は開業資金なのでそれが目減りしていくのはとても心細い思いでした。
バブル期の当時は飲食業も開業ブームで店舗は争奪戦の状態です。流通量も少なく目を皿のようにして探す日々でありました。
その中で意識したのは商売上の条件の良い物件は資金的に手が出せない、当然に繁華街の物件に目をやっても仕方ない、にぎやかな場所から外れても何か良い条件があれば狙ってみる、となります。
しかし今思えば繁華街で開業出来なかったのは幸いだったかもしれません。人通りの少ない立地ののわりに車の交通量が多い場所の店であったのでは視認性が高くより広い商圏になったようです。またそんな場所でこそ自分の実力が試せたし、腕も磨けたと思っております。
Y君の独立開業を語るつもりが自分語りとなりました。現状は店探しの段階にとどまっているので新たなレポートもありません。私も店舗探しを手伝ってはいますが、今持って彼の考えも理解し得てないようで助けにはなっていないようです。こちらも暫く静観かと考えています。

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