S君の独立 2

 誰しも独立を目指して入店してくると思いますが、最後まで修行が達成されるとは限りません。それがどのような形でで挫折してしまうかいろんなケースがあります。
 年齢が高い独立志望者の場合若者と違った困難が有るといえます。その場合その要因が往々にして肉体的な問題と思われる勝ちですが、実際は考え方や感情にこそ問題があります。肉体は40台になっても20台の若者と比べ遜色ない状態を保っている方は多く見られます。スポーツや競技により優劣を競うわけではなく仕事の成果出していく際はかえって若者を凌駕することもあります。S君の場合も 40台半ばである肉体よりも別なところに問題があったようです。
 思い込みや習慣は一旦身に付くとそこから離れるのにはエネルギーを費やします。その費やされたエネルギーは疲労となります。また指導する側も余分な労力が必要です。その労力は繰り返されることによりお互いの感情を損ねてしまいます。具体的な事案はそれぞれですが基本的な構造は同じです。
 技術を習得する為には私や先輩スタッフの力を必要とするだけでなく、お客様にも頼らねばなりません。独立を目指すのであれば当然の如く下働きだけでは修行として不十分です。実際にお客様にお出しする物を作って行って始めて達成されます。すなわち、お客様からの温かいお心があってはじめてなりたちます。しかしそれも限界があり、一定の段階にある程度の技術を習得しておかねばなりません。

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